この写真を見るだけで分かると思いますが、なんてピースフルなステージだったんだろう。彼らのステージは初めて観たけど、ライブテイクは2003年のBonnaroo Fes.のCDに入ってまして、レコードとほぼ同様の音像を再現していることと、ボーカルのウェインがレコード以上にヨレヨレなのは予備知識としてありました。でも、まさかこんなに凄いステージだとは思わなかった!
ステージの準備が完了し、メンバーが現れると観客は割れんばかりの大歓声。おいおい、僕の周りでLips知っているヤツなんて全然いないのに、君たちは普段はどこにいるんだね? さらに驚いたのが、ステージの両脇を固める、サンタクロースとエイリアンの大群。ステージ後方には巨大なサンタクロース、宇宙飛行士、エイリアン。そしていよいよウェインが登場するものの、銀色の寝袋みたいなものを広げてずーっと何かしている。するとウェインがその中に入り、空気が入れられ、巨大なバルーンが完成。なんとそれが観客のほうへと転がってきた。
こんな感じで観客の頭上を転がるウェイン入りバルーン。このままステージに戻れなかったからどうするんだろ? なんて思っていると、客も分かっていらっしゃるのかバルーンをステージの方へ転がし始め、ウェインさん無事帰還。すると同時に鳴り出した1曲目がなんと「Race for the prize」! うぉー、いきなりこの曲からスタートかい! もうイントロ聞いた瞬間、会場全員が血管ブチキレで狂喜乱舞ですよ。それと同時に観客に向って放たれる無数の巨大なオレンジバルーンと紙吹雪。周りの客なんてみんな笑顔でさ、後ろの子は「ダフトパンク見たいけど、ここから離れられない〜」なんて言ってたりして、Lipsの空間掌握能力の凄まじさを身をもって体験しましたよ。
「Yoshimi Battles The Pink Robots」も相当盛り上がりました。でもさすがに大合唱になるほど皆が歌詞を覚えていないわけで、ウェインはそこを諦めず「みんなに歌ってほしいんだ」と何度も言いながらリードしてまして、その様子もとても好感がもてるんですよ。そこには明確な意思があるんですね。それがはっきりしたのが「The Yeah Yeah Yeah Songs」。誰でも歌える「Yeah Yeah Yeah Yeah...」というところを何度も歌わせて「みんなの声を、ブッシュやブレアに聞かせてやろう」といったことを叫んでました。そう、旅客機テロ未遂の翌日ですもん、こっちも少なからずそういうモードだ。なおかつ新作「At War with the Mystics」が出たばっかりですもん。でも決してシリアスになることなく、ステージの雰囲気は終始ピースフル。
セットリストは新作中心で、演奏も完璧。どうやってあのブライアンウィルソンにも通じる偏狂的なサウンドを再現するんだろう、というのが興味津々だったんですよ。それをたった4人で完璧にやりこなしてましたね。もっと聞きたい、まだまだ聞きたいって思っているところに「Do You Realize?」が演奏され、ああこれで終わりかー。でも、客はまだまだ終わらせない。そしてアンコールに応えて演奏されたのが「A Spoonful Weighs A Ton」。全部で1時間半くらいでしたけど、もう大満足。こういっちゃ何だけど、同じくらいの演奏時間ではあるものの、先日のColdplayとは比較にならない満足感。単独来日してほしいリストの上位に食い込むほどの素晴らしいバンドですよ、ほんと。
はい、セットリストはこちら。
*1 ... Transmissions from the Satellite Heart
*2 ... The Soft Bulletin
*3 ... Yoshimi Battles the Pink Robots
*4 ... At War with the Mystics
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