今日はずいぶんと良い気分だ。この数ヶ月間、ずっと頭をもたげていた問題が少しだけクリアになった気がする。
実名や実在する団体などを書いてしまうと結構マズかったりするので、抽象的な書き方になってしまうが、事の発端はこうだ。
「10代や20代が聞く音楽、およびアーティストを絞り込め」
…って、はぁ? 音楽ファンにとってはこんなナンセンスなお題はない。だけど、マーケッターって奴らはこういうことを喜々としてやりやがる。そして出てくる、出てくる、ステレオタイプなヒップホップ、Jポップ、形骸化された“もどき”ロック。おーい、そんなリストを作ったところで、何の意味もないぞ。それに、音楽がテーマなのに、音楽の評価が何一つ盛り込まれていないじゃないか。
とまあ、釈然としない感情が、心のしこりのように小さく残っていた。で、先日、我が師匠からiChatでコールがあって色々と話しているうちに、似たような話になった。そこで師匠が言った一言。
「マーケティングの人間は常に物事を単純化したがる。でも10代がヒップホップばかり聞いているわけじゃない」
そう、そうなんですよっ。ノラジョーンズを聴いて心が洗われたっていう14歳の女の子だって、きっといるんですよっ。そしてそこには、どうしたって単純化できない、多面性に溢れた感情の揺らぎがあるわけですよっ。
もしここまでのエピソードを読んで、言いたいことが少しでも理解できた方は、ここに書く提案もぜひ心に留めておいてほしい。
「音楽を世代で区切るのは、もう止めよう」
今から20年以上前、自分はどこにでもいるありふれた10代だった。田舎モンだし。でも、10代の頃聞いていた音楽は、BeatlesとT-REXから始まり、ディラン、U2、コステロ、スタカン、そしてクラプトンだったりしたわけで、決して尾崎とブルハーと米米クラブってわけではなかったのだ。今の子たちだって、Franz Ferdinandを聞いたら、その系譜を辿ってNew OrderやThe Smithsへ行くかもしれないし、もっともっと潜ってVelvet Undergrandまで辿り着くかもしれない。16歳の男の子が「ワイルドサイドを歩け」を鼻歌で口ずさみながら歩いていたら、オレはその場で抱擁してしまうかもしれない。
話を冒頭に戻して。
下手したら日本の音楽構造を変える黒船になるかもしれない、なんて言われているサービスを抱えているんだから、スタートダッシュでいきなりアキレス腱を切った、どこかのチャート偏重型サービスと一緒の発想でやってもしょうがないだろ、ということを言おうと思ったら、我が師匠が乗り込んできて、僕なんかよりも何百倍もスマートなやり方で伝えてくれたのだ。その場にいたマーケな方々も、すっかりその気になっているようで、もう天晴です。
ここで、「師匠って何者? 乗り込んできたってどういうこと?」と、分け分からんモードになっている人もいるかと思うが、スマン。言いたくても言えないんだな、これが。ただまあ、この話の続きもあって、それはこれから起こる事に繋がって行く重要な布石になりそうなので、新展開を心待ちにしよう。