本来なら10月〜11月に行ったライブをまとめたいんだけど、なにせ相手がRadioheadとThe Whoとキャロル・キングなもんだから、いい加減に書くのも難しい。さらに時間が無いのでなかなかまとめられずにいます。
が、しかし、これだけは書き残しておかなければならないでしょう。11月21日に行ってきたキャロル・キング@国際フォーラム ホールA。演奏自体はとても素晴らしく、アメリカンポップミュージックの歴史を丁寧に紐解く様子を体験できた、そりゃもう素晴らしい内容でした。でも、でもだよ、やっぱり日本でキャロル・キングの醍醐味を「体験」することは無理なんだな、と同時に打ちひしがれた夜でもあったわけです。
キャロル・キングの醍醐味。個人的に勝手に思うのは、まず誰もが知っているメロディ。分かりやすく奥深い歌詞。ここまではよく言われていることだけど、これに加えて「黒人音楽との親和性」というのがあると思う。白人向けポップソングに聞こえるかもしれないけど、そこには確実に黒人音楽のエッセンスが流れている。それだからこそ、アレサ・フランクリンが「Natural Woman」を歌ったり、ダニー・ハザウェイのライブで「You've got a friend」をオーディエンスがゴスペル調のコーラスで大合唱するわけ。で、当然この2曲は定番(というかやらないと暴動)の曲なんで今回の来日でも演奏したわけですが......。
どうして誰も歌わないのよ! キャロルが日本語で「みなさんいっしょにうたいましょー」と感動の大合唱を促し、イントロのコードがダーンと鳴って「Natural Woman」を歌い始めた瞬間に涙がドーっとこぼれそうになり、いよいよサビの部分で「Everybody!」と促されるまま「You make me......」と歌ったその瞬間、会場はシ〜〜〜〜〜〜〜ン。歌った自分も一瞬気後れしてしまうほど静かな一瞬。キャロルも「あれ?」って感じが見て取れたし。その後自分は、恥ずかしいけど大きな声で歌いましたよ。あの曲、キーが高いから歌いにくいんだけど頑張りましたよ。だって、あの問答無用の名フレーズを生で歌うために国際フォーラムまで観に行ったようなもんですから。
ちなみに「You've got a friend」もシーンとしてました。「Winter, Spring, Summer or fall. All you have to do it call」のdo itとcallの間を半拍あけるダニー・ハザウェイなバージョンで歌えとは言わん(自分はそうしてましたが)。でも、こんな中学英語並みに簡単で、しかも奥深い歌詞を、あの素晴らしいメロディで歌える喜びを、なぜ放棄するかなあ。さっぱりわからんよ。
で、いろいろ考えましたよ。思うにね、客の年齢層が高すぎて、ディナーショウ感覚が強くなりすぎたんだと思う。今回はチケット代が12,600円。しかもリビングルームシートとか名前を付けた最前列をウン万円で売っちゃうわけだから、それなりにお金を払える、ディナーショウ感覚な人たち向けの商売なんだろう。そりゃキャロル・キングが自分たちの青春!って人たちは確実に50歳前後ですよ。「モンキーズ覚えている?」ってMCに拍手する人たちは60歳を超えてますよ。でも僕はね、去年の来日ライブを観ているわけです。メアリーJブライドやファーギー目当ての若い女の子たちの前で堂々と演奏し、最後には魅了させたあの瞬間を。だからキャロル・キングはまだまだイケる。ポップレジェンドの生き様を目に焼き付けるべきは、ノスタルジー好きの団塊大人より、新しい世代の連中だと思うんだけどね。ということで、いい加減チケット高騰路線は止めて、適正価格に戻してほしいです。
追伸:モンキーズに提供した「Pleasant Valley Sunday」を演奏する前に「モンキーズって覚えている? スマップってあれはモンキーズね」と言ってまして、もしやスマスマさん、またやっちゃいましたかね? あ、もう放送されたんですね。