2月8日は、渋谷AXでStereophonics。前回2005年が恵比寿リキッドルームだから、確実にハコが大きくなってきてます…って言っても、英国では完全なるスタジアムバンドなんだけどね。1,000人キャパの場所で彼らが見れるというのは日本だからこその魅力。とても男気溢れるバンドだけど、オーディエンスには女の子も多かった。でもアリーナクラスの会場で、野太い声の大合唱が巻き起こるなか見てみたい気もする。
前回のリキッドルームはドラムが新加入したばかりの頃で、その異様なほどのパワーヒッターぶりに、バンド自体もかなり縦ノリハードロックバンドになっていたけど、今回はかなりこなれてきた感じ。ドラムは縦とも横ともつかない正確かつパワフルなリズムを叩き、ケリーのボーカルとギターで曲毎にグルーヴを作っていく感じでした。まあ、今さら言うのも何ですが、ケリーはギターもボーカルも絶品だわ。あれだけハードに歌って最後の最後まで声量は落ちないし、粘ーっこいボーカルを聞かせてくれる。今回はサポートギターが入っていて、彼がケリーとのギターアンサンブルやコーラスを担当していたのもグッド。単なるサイドギターじゃなく、あそこまで違和感なく絡むなら、正式メンバーでもいいんじゃないの?
セットリストも新作『Pull The Pin』からたくさんやりつつ、「Vegas Two Times」「Just Looking」など今やライブでの必殺ナンバーも目白押し。もうひたすら歌いまくり、踊りまくり。「Just Looking」なんてアルバムよりも全然いいもんね。「More Life In a Tramp's Vest」「Local Boy In the Photograph」なんていう初期の曲もかなり楽しい。「Pull The Pin」以降に出来たと思われる新曲も披露してくれて、この曲のメロディが俊逸なんだわ。で、皆さんお待ちかねなのが、アンコールでケリーがギター1本で歌う「Maybe Tomorrow」。最近はずっとこんな感じで歌っているけど、相変わらず必殺、とにかく名曲。そういえば後ろにいた外人(たぶんイギリス人)が、事ある毎に「メイビィ〜トモローーゥ!(を演奏しろ)」って叫んでたけど、わかっている、やるから。おまえは少しは空気ヨメって。
で、ラストは近年の名曲「Dakota」で終了。90分程度のステージだったけど、満足度はかなり高かったです。そういえばケリーがMCで「今年の夏フェスに来るよ」って言っていたけど、フジか? サマソニか?
2/10 & 2/17 佐野元春 and The Hobo King Band1月から始まり、3月29日の東京・NHKホールまで続く佐野元春 and The Hobo King Bandの全国ツアー「SWEET SOUL, BLUE BEAT」。2/10の群馬みかぼみらい館(ひっさびさの地方体験)を見て、そして一週間後である2/17の神奈川県民ホールに参戦。みかぼみらい館において既にバンドの演奏やセットリストの構成などは固まっていた感じがしましたけど、県民ホールを見たらさらに突き抜けている感じを受けまして、NHKホールがいったいどうなるんだろうと楽しみ。みかぼみらい館は音響が異様なドンシャリと中域のダンゴ状態で、演奏がぼやけちゃっていたのが残念! 2部からかなり持ち直したのでPAスタッフの力量と苦労が垣間見れましたね。
で、今回のツアーは、もももももぅ凄いですよ。オープニングの洒落た演出から「グッドタイムス&バッドタイムス」への流れは鳥肌もの。そのあとも佐野さんがウィリッツアー(Wurlitzer)を弾きながらの80'sナンバーが続きますが、これがひたすら反則技、涙モンです。そこにあるのは、とにかく「曲の良さ」だけ。後ろ向きな懐古趣味なんて微塵も感じられないから、躊躇している人は見ておいたほうが絶対にいいですよ。
その後でも特筆すべき演奏がたくさんありますが、やはり『THE BARN』からのナンバーが凄い。アルバムの枯れたアメリカンロックテイストが一変、むちゃくちゃグルーヴィなFunk/R&Bナンバーに変貌してました。ステージの佐野さんを遠くから見ていると、まるで黒人ボーカリストのように見えたもんね。そういえばステージアクションとか、どことなくマーヴィン・ゲイを思わせるところも…。で、『THE BARN』の曲群の後に『VISITORS』に入っている「Wild on the street」がスッポリはまるというのも、これまた凄い。特に県民ホールでの曲後半の演奏はとんでもなくうねった音の壁状態に突入。ありゃ名演でしたね。
今回のライブを見て思ったのが、The Hobo King Bandには3つの音楽的性格があるんじゃないか、ってことでして、ひとつは当然ながらロックンロール。もうひとつが、非常にソフィスティケートされたソウル色を感じるポップ演奏。そして、むちゃくちゃグルーヴするR&B(でもロック寄り)。佐野さんの曲群はもっと幅広いわけですけど、ステージで演奏する際には、この3つのどれかにハマることで、なんとも言えない気持ちよさが出てくるなあと。
ライブは休憩込みで3時間という長丁場ですが、佐野さんのボーカルも最後まで衰えず、「Rock & Roll Night」のシャウトは胸を鷲づかみにするほど切実で、大ラスで4回ジャンプを決め、横浜の客に煽られてアンコールで1曲増やしたりと、とにかく凄い。第二の地元、横浜ってことで佐野さん自身もかなりテンションが上がっていたこともあるけど、やはりライブの半分は客が作るものですね。みかぼみらいのオーディエンスもかなり盛り上がっていたし、土地土地でこんなライブをやっていけるっていうのは、本当に素晴らしいことだな、って思いました。
2/13 The Police2月13日は東京ドームでポリスでした。もう怒濤のヒット曲展開。他のパンク/ニューウェーブなバンドに比べてこれでもかってくらいヒット曲をもっているバンドだし、新曲なしの再結成ツアーだから当然そういう展開になるわけです。こっちもそれを望んでいるから、一曲目の「Message in a bottle」が鳴り響いた瞬間に「よし、OK!」ってなもんですよ。さらに「Synchronicity II」(個人的には「I」をやってほしかったけど)だの「Walking On The Moon」だの「Driven To Tears」だの……と書いていると、うちにある「Live Montreal 83」のセットリストに結構近いな。ラストは「Roxanne」「King Of Pain」「So Lonely」「Every Breath You Take」…と、ここまでやれば文句ないだろう!的な攻勢。3人で東京ドームを2時間弱盛り上げたんだから、やはりこのバンドは凄い。
で、面白かったのは、バンド内の力関係が何となく昔と一緒なんだなーと感じましたよ。日本でもやはりスティング目当ての客も多く、色男なボーカリストだし、ポリスというバンドの客寄せ担当なんだけど、ステージ上ではスチュワート・コープランドとアンディ・サマーズが何となく美味しいところをかっさらっていく。まあ、いくら声が出るとはいえ、全盛期に比べると明らかにスティングのボーカルは衰えているし、キーを下げて歌っているところもある。それに比べてアンディ・サマーズ(御年65歳)ってこんなにギターソロを弾きまくる人だっけ?と思うくらいバシバシとソロを取るし、眼鏡サッカー爺と化したスチュワートも、決してパワーヒッターではないけどタイトなドラム&パーカッションを聞かせてくれる。そりゃスティングにとっては、ソロのほうが全然やりやすいんだろうなーと思いながら、楽しませてもらいました。
最後に、分かっていることだけど、分かっていることだけど、東京ドームは相変わらず音悪し…。