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初出:2009年2月10日 13:00

ひさびさに我が家のオーディオに手を加えました。このブログを見ていればだいたい分かると思いますが、うちにはCDプレーヤーというものは無く、トランスポートはApple TV、もしくはAirTunes経由でiTunes+Macという、いわゆる完全な「PCトランスポート」です。ちなみにApple TVは無線LANで接続しているので、伝送路においてデータが劣化する要因はほぼ皆無です。

そんな純デジタル環境なんですが、アンプはというとTriode社のTRV-35SEなんていう純然たる真空管プリメインアンプだったりします。さらにスピーカーはMonitor Audio社のSilver RS1というブックシェルフ型スピーカーで、これまたアナログを鳴らすと良い音がします。

トランスポートが純デジタル環境のくせに、アナログプレーヤーも持っていないくせに、なんで超アナログなアウトプットなんじゃい!と突っ込まれそうですが、やっぱりね、アナログでレコーディングされた音源を豊かに鳴らしたいと思うのが人情ってやつじゃないですか。最初はバリバリのホームシアター用アンプ&スピーカーにしようと思ったんだけど、アンプ試聴に持ち込んだCDが『Pet Sounds -40th Anniversary』だったりしたんで、どうしてもこういう選択になってしまったわけです。

これで2年ほど聴いてましたが、どうもしっくりこない。たしかに音はいいんだけど、なんかこう…薄っぺらく奥行き感がない。聴いててワクワクゾクゾクしない。壁紙みたいに薄っぺらいFuckin' J-POPのCDを聴いているわけじゃないんだから、こんなんじゃ満足できない。まあ、たしかに4〜5万円のiPod用スピーカーなんかより全然良い音を鳴らしてくれるけど、20万円強かけて買ったオーディオシステムにしては物足りない。

いろんなレビュー記事を読む限りでは、アンプもスピーカーも数多くのお墨付きがもらっている機種なので、選択ミスというわけではなさそう。だとすると疑わしいのはApple TV。「疑わしい」じゃなく、犯人は完全にApple TVです。そりゃそーだ。純デジタル信号をアナログに変換するという要の技術であるDA変換。それを司るDAコンバーターが、4万円弱の本体の中に入っている安物チップなわけだから、その性能なんてたかが知れている。

da53_f.jpgそこで念願の単品DAコンバーターをヤフオクで落としまして、ついに手に入れました。CEC社のDA53ってやつです。元値は8万円くらいでしたがヤフオクでは5万円でゲット。Digital/Audio変換という単機能なのにApple TVの倍のお値段。儚い希望としてはCHORD社のDAC64mk2だったわけですが、こちらはApple TVの20倍しますので夢は夢のままということで、5万円の予算の中ではDA53は随分と上等の部類に入るものですよ。

これを機に、スピーカーケーブルも1メートル3,000円のやつにして、TOS-Link(光)ケーブルもOptilink-1というそこそこ高級なやつにしました。DA53とアンプの接続は特注(と言っても2本で3,000円程度)のXLR-RCAケーブルにしました。とにかくデジタル信号の劣化を最小にしてDA53に突っ込んで、ピュアなアナログ信号をアンプに送りたかったので、こういう選択肢になったわけです。いろいろな試しながら聞き比べた結果、XLR-RCAケーブルにまで手を出すことはなかったかな、と思いますけど。

やっぱリ最初に鳴らすべきリファレンスといえばこれ!というSteely Danの『Gaucho』を流したんですが、「Babylon Sisters」のイントロ、ビシ!っとタイトなスネアが鳴った瞬間「おおおぉぉぉ!?」というくらい前までとの違いは明確。気になっていた奥行き感はもちろん、スネアのアタックから残音までがきちんと再現されている。AAC 128Kbpsと256Kbpsを聞き比べると違いが明確で、128Kbpsは音像が狭く、全体的にザラついた印象。iPodのようにイヤフォンで聞く分にはいいかもしれないけど、エアで鳴らすのならもう128Kbpsという選択肢は無しです。

他の音源をいくつか試してみると、たとえば『Plastic Ono Band』(ジョンの魂)の冒頭、鐘の音なんてこんなに倍音が鳴り響いていたか?というくらい凄いし、前述の『Pet Sounds -40th Anniversary』に入っている「Caroline No」なんてもうなんと言ったらいいか…。曲じゃなくて音を聞いて鳥肌モンというのは、曲に感動するのとは違う脳細胞を刺激されるんですなあ。これは確かにオーディオファイル(audiophile)な人達が病みつきになるのは分かる。

しかしですよ。上には上がいますし、殿上人という人もいます。とある方のおうちに遊びに行って一千万円を超えるシステムで聴いたジェームステイラーの「Fire And Rain」には到底太刀打ちできない。だって、奥行き広がりだけじゃなく、高低まで再現されているんですよ。シンバル一発叩いたとき、音の粒子が飛び散るのを僕は見たんです! あんなの、上物のLSDをやったって決して見えまい。

それ故に、うちのオーディオ機器の拡張計画はまたしばらくお休みです。…でも、音圧が上がったせいか、ちょっと低音がブーミー気味なんですよねえ。スピーカースタンドくらい買っておいた方がいいかなあ。

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