一週間ほど前になりますが、「劇的3時間SHOW」なるものを観てきました。日本のコンテンツ業界で活躍するトップクリエイター達が、自身の成功に繋がった技術や経験などを3時間という枠の中で自由に語る...というイベントで、ここのサイトにあるように、まあ錚々たる面子なわけです。その中でも3連休の中日という、ある意味いちばん待遇の良いポジションを押さえたのが藤村先生だったと。...なんなんでしょうねえ。このサイト見てても「水曜どうでしょう」って文字がないもんだから、一般人にとっては北海道テレビのディレクターって言われてもピンと来ないんじゃないですかねー。
でも、蓋を開けてみれば大盛況でした。まあ蓋を開ける前から盛況ぶりは如実に分かりまして、9月1日正午にWebサイトでスタートした整理券配布。正午少し前からアクセスしてましたが、もう重いのなんのって。リロードすること数十回。なんとか20分後に整理券をゲットした次第。イベント当日、藤やんも「オレだけサラリーマンなのに、オレがいちばん先に席が埋まった」なんて言っていたけど、あんだけ大変だったんだもん。そりゃそうだろう。
10月12日。場所は表参道は青学のそばにあるスパイラルホール。開始30分前に行ってみると、整理券なしの人達がえらい数並んでいる。会場の前には出演者のパネルが並んでまして、藤やんはこんな感じ。みんなニヤニヤしながら写真を撮っている。会場に入ると、当然満席。後ろには立ち見が溢れ、会場に入れなかった人が別室で茣蓙に座ってプロジェクタの映像を見るという盛況ぶり。もう明らかに全員どうバカ。
6時半を少し過ぎたところでスタートとなりましたが、のっけからかなりの直球でした。スポットライトと共に登場した藤やんはなんと浴衣姿。そのままステージに上がり、小さな冷蔵庫から瓶ビールを出して一息つくように椅子に深々と座ると、シュポっと栓を抜いて手酌しようとするも、最前列のお客さんに無言で「つげ」ってグラスを差し出し、注がせた後で一気飲み。...と長い小芝居を無言で続けた後、ボソっと「まあ一応はしゃべりますけどね」と。これだけで会場は大拍手ですよ。これはもう落語の枕ですね。
場の設定は温泉宿の一室だそうで、なんでこんなシチュエーションにしたかというと、4人で旅に出たときは「4時には宿へ」というルールの下、温泉旅館に到着し、まずはひとっ風呂。そのあとで宿のメシを食い、なんとなくカメラを回して1.5時間。それでも8時くらいで寝るには早い。そこから4人で何の気無しにダラダラ話し始めるわけだけど、その内容がまさに番組作りの話だったり、最近のテレビってどうよ...という話だったりするんだそうで。つまり、それと同じシチュエーションであれば、3時間喋るのはたやすい、というか3時間でも足りないと言い切ってました。しかし、ビールはグビグビ飲むわタバコは吸うわ。「藤やん、うらやましいぞぉーっ」ってな感じなんだけど、しまいにゃ放屁するんじゃないかと。そんなリラックスした感じでしたね。
ちなみに壇上に置かれた穂一本だけのススキ。写真は訳の分からんボケた絵画みたいになっちゃいましたが、しょぼさだけは伝わるはず。これが大泉さんからのお花でした。前日の大宮エリーには凄いお花を贈ってたという大泉さんでしたが、藤やんにはこれ。「さすがだな」とメールし、ささやかな抵抗として、藤やん入場のときに鈴虫の鳴き声を鳴らしたんだとか。この二人、つねに相変わらず。
今回、全編に渡ってのテーマは「なぜテレビはつまらなくなったか」。以前に日記でも同じ問題提起をしていたわけですが、いろいろ藤やん流の言い方で分析していました。要は視聴者と作り手の乖離が理由であり、その原因は「視聴率」であると。一般的にはインターネットが出てきたからテレビが落ち込んでいるって言われているけど、それはテレビマンの言い訳に過ぎない、ネットのおいしさを知っちゃった自分らには断言できるって言ってましたね。
僕は2〜3年前から、もうまったくテレビを観なくなりましたね。僕が観なくなった理由は、つまらないというよりも一時期からテレビが気持ち悪くなったから。朝の報道情報番組では、悲惨で狂った事件を神妙な面持ちで連日取り上げ、朝から気が滅入ってくる。夜になればどのチャンネルをひねっても強烈な個性を持たないお笑いタレントのパッケージショウ、もしくは雛壇タレントの与太話大会。ドラマは海外ドラマのほうが全然クオリティ高いし、もうこうなっちゃうと、摂取する要素が何も見あたらないんです。
話をイベントに戻すと、藤やん曰く、思えば「どうでしょう」がDVD 200万本を売るお化け番組になったといいながら、実は20%の大台に乗ったことはない。藤やんもうれしーも「20%を超える番組の作り方がさっぱり分からない」だとか。そもそも20%というのは数百万人規模が見ているということなわけで、こういうマスにウケる番組作りというのは「センスではなくテクニックに尽きる」んだと。お笑いタレントの使い方や、編集の仕方、CMまたぎの手法などなど、テクニックを駆使すれば数字を引っ張ることはできる。しかし、そこに作り手のセンスを入れ込もうとすると、それは「大衆に受けるセンス」であり、小学校のクラスで必ずいた「みんなに媚びて人気を得る」ようなセンスの持ち主じゃないと、最初から20%なんて狙えない、と。
はい、(2)に続きます。
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