名刺とは何か?を追求したら、新しい形の名刺ができました

業務や住所などが変わるごとに作り直す名刺。名刺は判型を含めてルールが決まっているので「どれくらい派手(もしくは地味)にするか」「どういった情報を盛り込むか」くらいしか変えるところがない、と思いがち。人とのコンタクト手段がどんどんデジタルに移行する中、名刺そのものの存在意義を見つめ直してデザインした結果、Webやスマートフォンと連携できるアイデアがたっぷり詰まった「機能的な名刺」が出来上がった。その版下データなどを交えながらエピソードを紹介する。

名刺ってなんて鬱陶しいんだ⁈

名刺は長辺が約91mm、それに対しての黄金比率から短辺が55mmという決まった寸法の中、縦に使うか横に使うか、片面にするか裏面も使うか。それくらいの自由度しかない。誰が決めたか知らない規格なだけに、このフォーマットから外れたものを作るのも容易だが、そんな名刺は渡された側が管理しづらくて困ってしまう。

いや、そもそも名刺には統一された管理方法なんてない。他人と共有もしにくいし、印刷されたものだから検索性も乏しい。そりゃあ松重豊がおでこの縦と横にシワを作って「早く言ってヨォ」とも言いたくもなるさ。

さらには紙に定着した情報はアップデートされないから、2年もすると名刺に書かれた内容の信頼性にも疑問が湧いてくる。だからと言って昔の名刺も捨てにくい。広く交換するものだからプライバシー情報というわけでもないが、名簿屋に流れるとたちまち面倒な電話がひっきりなしにかかってくる。

「新しい名刺」はどのように機能すべきか

名刺にはビジネス・パーソンとして何に属しているかの情報がすべて書かれている。どの会社のどの部署か?どういう立場の人か?属する住所は?連絡先としてどのようなものが用意されているか? 逆にいえば、それだけが過不足なく書かれていれば名刺として機能はする。

ただ、名刺ホルダーに紛れた時でもすぐに探してもらうために、何らかの自己主張が必要だ。営業職にとっては自分を知ってもらうための最初の営業ツールなので、裏面などに色々と業務内容を記載したいだろうし、私のようなフリーランスなら自分のポートフォリオをまとめておく手もある。

そこで考えたのが、名刺に全てを詰め込んで必要以上の任務を課すことがないよう、コンタクト情報や営業用ポートフォリオは名刺の外に分散しつつ、それらへのアクセスが容易な仕掛けを名刺に持たせるというアイデアである。 そして完成したのが、下にあるホルダー機能をもつ名刺とミニ・リーフレットだ。

ワンダウォールの名刺とリーフレット 

まず、コンタクト情報として名刺が有益に機能するためには、情報のアップデートに対応する必要がある。会社の立ち上げが視野にあるので、登記する場所が決まるまでは名刺に書く住所は仮のものになる。そのため、名刺に記載された特殊なURL、QRコードを読み込むとWebページで常に最新の連絡先が表示され、vcf形式コンタクトデータのダウンロード、Google Mapでの地図表示などデジタルならではの利便性も実現している。名刺の名前と顔は先々まで一致して記憶してほしいので、名刺のURLからアクセスされた時だけ顔写真も表示されるよう、JavaScriptによる仕掛けも作った。

名刺のデジタル化で昨今注目すべきは、スマートフォンで名刺を写真で撮り、そのままスキャンデータがデジタル化される名刺管理アプリケーションの存在だ。そこで仮組みしてはiPhoneで取り込むことを繰り返し、OCRがかかりやすいようフォントや大きさ、配色などを工夫した。結果、ロゴと名前、仕事の拠点となる簡単な連絡先だけが記載されたシンプルなものとなった。

リーフレットを収納するホルダー機能をもつ名刺

情報をきちんとレイアウトして伝える、これがワンダウォールに求められる基本的なスキルだと考えている。皆んなが名刺からWebにアクセスしてくれればいいが、なかなかそうもいかないだろう。そこでコンバージョン率を上げるために、名刺とは別に、こちらが伝えたいポートフォリオをリーフレットで渡すことにした。

ワンダウォールのリーフレットこのリーフレットのPDF版がダウンロードできます。

このリーフレットのPDF版はこちらからダウンロードできます。 リーフレットにはWeb情報の抜粋を良いビジュアルとシンプルなコピーで記載し、ここにも特殊なURL、QRコードを印刷する。名刺はどこかにしまわれても、リーフレットにショップカードのような手軽さがあれば、他の人に回覧されるかもしれない。

それにはA4など名刺と異なるサイズではいけないので、全8ページを折りたたむと名刺と同じサイズになるようにし、名刺はこのリーフレットのホルダーとして機能するよう、ゼロから版下を設計した。

ワンダウォール ホルダー機能付きの名刺 版下データ ホルダー部分のデザインは、Topo CardのホルダーUIをそのまま実現している。

この特殊な名刺の制作を実現してくれた印刷会社

日本橋を歩いていると、名刺やチラシを刷ってくれる印刷会社に多く出くわす。できれば地元の印刷屋さんに依頼したかったが、この特殊な版下はレーザーで裁断することになるため、残念ながら対応してくれるところがなかった。

そこで、Webをくまなく探すと「アドプリント」という印刷サービスが対応してくれるとのこと。発注した「マットコート紙 220kgラミネート有 (108mm X 100mm) 4c/1c・100部・インレイ加工×2」で日数は10日ほどかかったが価格も8,000円弱と比較的安かった。リーフレットは神田に店舗がある「WAVE」というネット印刷会社に依頼し「マットコート紙70kg A5フライヤー・4c/4c・100部・折り目加工」で5,000円弱となる。

昔ながらのビジネス的な因習を保ち続ける紙の名刺と、スマートフォン時代のコンタクト情報管理。この2つを分かりやすい形で繋げることに成功した名刺とリーフレットには、とても満足している。もしお会いする機会があれば、積極的にお渡しするので、実際に手に取って見てみてください。