3/18、怒涛の6週連続ライブのスタートは佐野元春のデビュー30周年「前夜祭」ライブでした。でも観客としてではなく、ステージ裏でせわしなくしていたり、PAブースでiPhone片手にYouTubeとかTwitterとかしていまして。なので感想としては一言。「日本でWilco的なライブアンサンブルができるのは、The Hobo King Bandだけじゃない?」。短い感想で申し訳ないので、頑張って頑張ってMWSに特集ページを作りましたよ。
前回の来日が2001年の武道館だったから、実に9年ぶりの来日。しかもライブハウス級のハコで14回も公演するという、万年ライブ男の面目躍如。僕は東京2日目となる23日に行ってきました。東京公演は後半に行くに従って、演奏する曲が凄いことになっていたようですが、23日のセットリスト
はこんな感じ。「It's All Over Now」「I Don't Believe You」あたりはイントロで即座に分かりましたが、そうじゃない曲が多数。メロディとかアンサンブルとかって話じゃなく、ディランが辻説法のように独特の抑揚で語りだすと、それに反応してバンドがアンサンブルを組み立てるという、かなりフリーフォームな展開。バンドの力量が凄いから、それで全然説得力がある。「The Memphis Blues Again」~「John Brown」~「Under The Red Sky」は鳥肌ものでした。ディランはオルガンがメインだったけど「Under The Red Sky」で唯一ギターを持ち、シングルトーンの奇妙なソロをずっと弾いてましたな。いやあ、もう2回くらい行きたかった。チケット代は12,000円と凄いことになってますけど、その価値十分にありでしたよ。
Twitterで来日を知ったときにはチケットは完売。まあ、むちゃ見たいってワケでもなかったのでそのままにしてましたら、ひょんなことから前日に突如チケットを入手。Zepp Tokyoに通い詰めだなーと感じつつ行ってきました。Jamie Cullumのイメージといえば、ジャズをベースにしたアバンギャルド&ポップなピアノマン。そんな感じでしたけど、ボーカルといいピアノといい、卓越した技能をもったエンタテイナーでした。ステージ前面でスタンド付きマイクで朗々と歌ったと思えば、踵を返すようにピアノに滑り込み演奏し、最後には客席に飛び込む。ある曲では、バスドラ、スネア、ハットのパターンを口で演奏し、それをサンプリングマシンに重ね、ツマミを回して音を作り、そのオケをバックにピアノで歌うという一人多重録音をステージ上で展開。それがまったくもって繋ぎ目なしだから、スゴイスゴイ。最後まで見て思ったのは、この人はジャズなのかというと違いますね。ジャズのフレーズは随所にあるんだけど、じゃあ曲の8小節とか切り取って、それがジャズに聞こえるかというとそうじゃない。いろんな音楽要素をジャズでラッピングしている...というのが正しいような気がした。素晴らしいアーティストです。
'60~'70年組み第二弾はキャロル・キング&ジェームス・テイラーのジョイントライブ。最近、世界的にカップリングライブが多いご時世ですが、この二人と一緒にダニー・クーチー、ラス・カンケル、リーランド・スカラーがバックを支えるというんだから、そこで鳴る音は当然あの音なわけですよ。たぶん新しい音は何もないだろう。だからこそ見ずにいられない。そんな気持ちでいましたが、なにせチケット代が...。でも一念発起で武道館のC席をゲット。行ってみると2階席の一番上からステージ真横を見つめるという、数ある武道館人生でも最悪の席。音なんて全然よくないし。これがThe Whoだったら落胆していただろうけど、ゴリゴリの演奏をするわけでもないので、十分楽しめました。そこで鳴っている音はどこをどう聴いても'70s。周りを見渡すと還暦過ぎた方々がたくさんいましたが、この人達が30年前に武道館に集まって、70年代のポップミュージックを楽しんでいた、その雰囲気をリアルに疑似体験できましたよ。第一部ラストの「Natural Woman」で相変わらずこみ上げてくるものあり、周りを気にせず歌いまくり。後半のハイライトは「You've got a friend」...じゃなく、その前にやった「Fire & Rain」~「It's too late」のメドレー。これは凄かった。かくも業深き2曲を続けざまにやられますと、その後に友達がどうたら言われても印象薄いわけです。オーラスは案の定「Locomotion」でしたが、2階席最上列では全然音が回っちゃって、終り方としては今ひとつでした。【教訓】この手のライブは多少お金を払ってでも、良い席で聞こう。
詳しくは単独のエントリーで書きます。...が、これだけは言わせてほしい。人生最上級のライブでした。この日の音源は今でも2日置きくらいに聴いていますが......、今でも体中の血が沸騰する。Wilcoも凄かったし、客が凄かった。何もかも最高。至福の瞬間。
これもチケットを取ってもらいまして、行ってきました。この日は分刻みのスケジュールでして、7時までミーティングして、そのままタクシー飛ばして駆けつけたんですが、前半20分くらいは聞くことができず。でも、バンドでやる「Maybe Tomorrow」を久々に聴けたし「Have a Nice Day」も聴けた。ライブ定番曲もたくさんやりつつ、新作『Keep Calm and Carry On』の曲も良い感じ。この5つのライブでは一番ハードロッキンなギグだったので、こう感じたのかもしれないけど、Stereophonicsって単なるハードな演奏を信条とするバンドじゃなく、ポップであり、ケリーのブルーアイドソウルな味もあり...というのがユニークなところ。これこそが浮き沈みの激しい'90s UKバンドの中で、比較的安定した活動を続けている秘訣だと思います。なので、ライブはちょっと単調なハードロッキン過ぎかなって気もした。まあ、そういう側面も大事だからね、とても楽しめました。