昨日、初めてiPadを触りました。ファーストインプレッションとして「Safariが速い!」とか「描画能力が高いし、指操作への追従がスムーズ!」とか「すぐにガラス表面が汚れるね!」とか、そんな感想が思い浮かぶわけですが、今にして考えると一番凄いのは「本体を横にしても逆さにしても、画面の中がクルクル回転する」ってことです。だって、こうなると本体の向きなんて関係ないんだもん。対面の相手にパっと画面を見せるときは、相手側に本体を傾けるだけで良い...ということはよく語られますが、いやいやそれだけじゃない。自分が使うときだって常に本体を逆さにして、ホームボタンを上に、イヤフォンジャックを下にした使い方をしても何ら不便はないわけ。つまりハードウェアデザインがユーザーに使い方を強制することを徹底的に廃したデバイスなんだな、これは。いかにもスティーブ&ジョナサンらしい発想。
iPhoneもそれに近いかもしれない。だけど電話で話すときにイヤースピーカーとマイクは耳と口元にないといけないから、上下は決まってますね。あと重要なのはカメラ。カメラが下に付いていると撮りづらい。iPadが将来、本体のド真ん中、アップルロゴの中にカメラを埋め込んできたら凄いね。そうなると対面カメラはディスプレイの中に埋め込むのか。ははは、さすがにそれは考えすぎか。
Twitterにもチラっと書きましたが、ジョブズが10年前に構想発表したMac OS Xには色んな新アイデアがあって、皆から総スカンを食らったわけだけど、そのリベンジが10年目にして果たせたのかな...と思うところもある。「開発フレームワークは最高にクールなCocoa一本です。開発言語はObjective Cです」「ぽかーん」。「アプリケーションはシングルウィンドウであるべきです」「ぽかーん」。「UIはまるで生きているかのようにセクシーに動くべきです」「そんなことより軽くしろ!」...などなど。もちろん当時の群集の意見も正しいわけで、Mac OS Xをシェイプアップして、1GHzのプロセッサとそこそこ凄いGPUと256MBのメモリーで、あんだけグイグイ動くOSにまで仕上げるのに10年かかったのかな。そんなことを考えると、10年前、45歳のスティーブ・ジョブズは血気盛んで、自分の理想に対して性急に物事を進めたがる人だったのかもしれない。で、この10年で一つ一つ駒を進めていって積み上げ式で物事を成し得ていく事を学んだのかもしれない。いくつになっても日々これGrowing Up。
話をiPadに戻して、数分でしたが使い終わった感想は「あぁこれはMacBookを買う気がだんだん削がれていくな」と。もちろん今時点ではMacBookでやれること(=デスクトップでやれることとほぼ同義)がiPadに置き換わることはないんだけど、いろんなアプリが増えて使い易くなって、最終成果物の目的や質が変わっていき、iPad自体が進化する中で、持ち運ぶコンピューターデバイスはあらゆる面でiPadのほうが適しているって話になると思う。そうなると、素晴らしい出来なんだけど未だにクロック周波数戦争の爪痕が残り、一桁台のシェアという偏見が「見えない天井」となって高く飛び立つことのできないMacよりも、軸足をiPod touch、iPhone、iPadに移すのは理にかなっているよね。さて、一ヶ月半後が楽しみ。だけどその一ヵ月半後には新iPhoneでしょ? もう勘弁して...。