まさかCDを買った後で、アナログ盤(しかもCD付き)を追加購入するとは自分でも思わなかったけど、それくらい新譜「Wilco (the Album)」は素晴らしい。前作にして傑作「Sky Blue Sky」は文句なしダントツの2007年Myベストアルバムでしたので、否応なく新譜への期待は高まってましたよ。
最初に聴いたときは良い意味でスカっと外してくれて、何回か聞き込む毎にズブズブはまっていく。Wilcoのアルバムはいつもそんな感じだから特筆すべきことでもないけど、今作はそれが極まっているんじゃないかな? まさにWilco (the World)って感じですよ。
最初はうちのステレオで、それなりにデカい音で鳴らしました。狭い部屋なんで、デカい音なんてそうそうできることじゃないんですけどね。でも期待の新作なんで、やっぱり大きな音で聴きましたよ。iPod+イヤフォンがコンシューマーのリファレンスになっている最近の状況の中、そのアルバムがどれくらい本気で作られたかを知るには、デカい音で鳴らすのが一番。アルバム冒頭の「Wilco (the Song)」のイントロが鳴った瞬間、その籠もった太い音を聞いてニンマリしましたね。前作にも増してアナログ感たっぷりの響き。「Yankee Hotel Foxtrot」で音響系っぽいアプローチをして、そこからの揺り戻しでこの音が鳴っているんだろう。サビの部分なんて「Wilco, Wilco love you,baby」だもん。相当な確信をもって作ったんだろうなって、すぐに分かります。
続く「Deeper Down」はバース毎にアンサンブルがまったく違う。いったいどんだけ演奏の引き出しを持っているんだよという新手な手法。「One Wing」はかなり正当派のロックバラッドだけど、グレン・コッチェのドラムとネルス・クラインのエモーショナルなギターに耳がいく。そしてつくづく思うのは、これ以上やるとベタな曲になるっていうギリギリ一歩手前でうまくバランスを取ってて、このバランス感がWilcoの他に代え難い魅力なんだろう。「One Wing」なんてU2の「One」と匹敵する...いや、狂気が宿っている分こっちのほうが上じゃないかって思うくらいのクオリティだ。
その後もアルバムはフェイスト(Feist)とジェフが辿々しいボーカルでやたらハマるデュエットを聴かせてくれる「You and I」とか、Travelling Wilburys期のジョージハリスンを彷彿させる「You Never Know」など佳曲が目白押し。通して聴くと前作にして傑作「Sky Blue Sky」よりバンドの強度がグンと増しつつ、何一つごまかし無し、ハッタリなしのアルバムになっている。うむ。じゃあってんでiPhoneでじっくり聞いてみると、これまた印象が違う相当凝った作りをしていることに気づけて、さらにズブズブとハマる。
アルバム作品としては「Sky Blue Sky」のほうが今のところ上って印象だけど、ライブバンドWilcoの魅力は今作のほうが俄然上。ってことで、早くライブ見せなさいよ! お願い。ほんと。マジで頼みます。日本じゃ目立ったセールスを記録しているわけでもないし、話題に上ることも少ないけど、深く深くハマっている音楽ファンは全国に相当いるよ。そうだよね?