ボブディランがようやく、8月29日に新作を発表する。『Modern Times』という、かつてのチャップリン映画を思わせるタイトル。詩についての情報は何も持っていないけど、チャップリンのように高度文明社会を批判するような内容なのか…と考えるのは、凡人の浅はかさだろうな。
前作『Love and Theft』は、2001.9.11に発売されたんですよ。そう、9.11テロが起こったその日が発売日。それ自体は単なる偶然でしかないけど、つまりディランは、9.11以降作品を出していないということなんですね。もちろん今のディランが直接的、もしくは極めてニアリーイコールな間接的表現で、あの事件について歌うというのは、ちょっと考えづらいです。まあ、そこがニールヤングとの違いでもあり、どちらも正しいスタンスだと思うんですが。ただ、ユダヤの血が流れ、キリスト教に改宗したことのあるディランが、あの事件をどう見たのか、興味深いところでもありますね。
この前、『Modern Times』をチラっとさわりだけ聞いた分には『Love And Theft』を踏襲するような、ロカビリーやジャズっぽさを交えたバンドサウンド。ディランの今後のキャリアを想像するに、40年以上かけて巡り巡って、ここに骨を埋めようとしているのかな? とも思える。
…で、その『Modern Times』。USのiTunes Music Storeでは今日から先行予約がスタートしました。特典はデジタルブックレットと、4つのライブ映像。そのひとつはなんと「Jokerman」! いやあ、素晴らしい。さらにチケットマスターと組んで、秋からのネヴァー・エンディング・ツアーのチケットが優先入手できるという、レッチリと同じシステムも導入です。さらにさらに、今までのオリジナル作品、ブートレグシリーズ、未発表曲の800曲を集めた“The Collection”が199ドルで8月29日から発売されるんだと。いやあ、リマスタリングとかされているのかな。それなら買っちゃいたい。日本のiTunesで買える日はいつ来るんでしょうねえ、ソニーさんよぉ。
あとアップル絡みで面白いところとして、DVDの『No Direction Home』の裏パッケージを見るとアップルロゴがありまして、Presented by Appleという形になっています。本編の冒頭にもデカデカとアップルロゴが出てきます。調べてみると、世界上映とDVD制作についてはアップルが金を出したんですね。いやあ、スティーブさんの独断という匂いがプンプンしますなあ。ディランも心臓発作で倒れた後しっかり帰還しましたし、スティーブさんも元気になっていただきたいと、昨日の基調講演で激ヤセしている様子を見て考える次第であります。