バートバカラック。名前くらいは知っているかな? おや、知らない。では「Raindrops Keep falling on my head」は? おや、ダメですか。じゃあ邦題の「雨に濡れても」だと? いや「雨に歌えば」とは違いますよ。じゃじゃじゃ、実際に聴いてみてください。…ほら、知っているでしょ? 絶対に一度はどこかで聴いたことあるはず。
上に書いたのって、まさに自分がバートバカラックを知ったときのパターンなんですよ。
Gracenote CDDBでは、ジャンルがイージーリスニングに区分されていますが、そんなことは関係なし。古今東西の多くのロッククリエイター、ポップソングライターから絶大な支持を得ている偉大なるメロディメーカー。バートバカラックについて詳しく記述されているブログもあります>【バート・バカラック(Burt Bacharach) :楽しい音楽を聴く♪】
たとえ彼の名前が表に出てこなくても、彼の影響下にある曲を上げたらキリがありません。強いリスペクトも受けていて、最近だと映画「オースティンパワー・デラックス」のワンシーンで唐突にエルビスコステロと一緒に出演。コステロがバカラックの代表曲である「I'll Never Fall in Love Again」を歌ったりしてます。これがなかなか絶品。あと、オアシスの1stアルバムのジャケ写(左端)に、若かりし日のバートバカラックが写ってます。これはノエルの仕業で、ノエルも相当好きみたいですよ。佐野さんの「誰かが君のドアを叩いている」で、起伏に富んだメロディラインが出てきますが、これなんかもとてもバカラックっぽさを感じる良いフレーズだと思います。
あと、「The Best of Burt Bacharach」を聴いて知った驚愕の事実…っつーか、自分の無知をさらけ出してしまって恥ずかしいんだけど、カーペンターズの代表曲「Close to you」って、バカラックの曲だったんですよ。カーペンターズはあまり趣味じゃないんだけど「Close to you」は別格。最初から最後まで、非の打ち所がまったく無いメロディ。そんなメロディを見事なまでに昇華させたカレン・カーペンターの歌声っていうのも素晴らしいです。趣味じゃないけど、聴くたびに唸ってしまいます。
そして、このアルバムを紹介するにあたって、いちばん書きたかったことというのが、バートバカラックは、見事なまでの“ヒーリングミュージック”クリエイターだと思うんです。イージーリスニングのように耳辺りの良い音楽ってわけじゃなく、心辺りの良い音楽。ガサガサした心をそっとトリートメントしてくれるメロディ。ここ数日、まさに心がガサガサしまくっていたけど、このアルバムを聞き返したときに、フっとしたところで心が洗われる感覚に包まれました。一瞬だけ救われたーって感じ。まあ、確かにデパートのBGMでヤンワリと流れているようなアルバムでもあるので、イージーリスニングっていっちゃえばそれまでですが、そのメロディにきちんと耳傾けると良い効用があると思いますよ。