昨年の10月から今年の2月まで、全国30カ所を回るというロングランツアーだった「THE SUN TOUR」。僕は割と初っ端である大宮公演(2004.10.7)とオーラスのNHKホール(2005.2.20)に行く機会に恵まれた。このツアーのセットリストはMWSにアップされているので、そちらを見てみてください。
今回のステージは二部構成の形をとっており、一部はデビュー当時から最近までの曲の中から、今のムードに合ったものをHobo King Band(HKB)サウンドに再構築して演奏するというもの。ロックチューンはありのままのゴリゴリしたサウンドで、ポップチューンは現代的なニュアンスをちりばめたUp to dateなものに。「僕は大人になった」「99ブルース」のような演奏面の自由度が高い、懐の広い曲は、HBKの演奏が際立っていくジャムバンド的なアプローチ。そんな一部でのお気に入りは「また明日...」と「風の手のひらの上」。前者はHKBの包容力ある演奏の中、佐野さんの表現豊かなボーカルがとにかく素晴らしい。オリジナルレコーディングではアッコちゃん(矢野顕子)のこれまた印象的なボーカルがグっと来るのだが、ライブでは脳内補完でデュエットさせてました。「風の手のひらの上」は、アルバム『The Barn』の中でも特にお気に入りのナンバー。とにかくメロディと歌詞が最高。僕の中では「Someday」と同じテーマをもった曲に聞こえるのだが、どうだろう?
第二部がアルバム『The Sun』のライブ演奏。曲順もアルバムに則っている。アルバム自体が非常にバンドのノリを大事にしたサウンドなので、ライブではレコードがそのまま目の前で再現されている感じ。ただ、当然なのだが、個々のメンバーの息づかいというか、グルーブというかが、やはりレコードのそれとは明らかに違うのだ。勢いづくところはバンドが一丸となって突っ込んでいき、そこからグっと引き戻すスウィング感といいましょうか。これがとにかく気持ちいい。さらに印象的な言葉の断片がグサグサ刺さってくるので、聴いている方はもうトリップ状態。特筆すべきはNHKホールで聴けた「国のための準備」。3,000人のオーディエンスによる「国のための準備はもうできるかい?」コールはもう圧巻。ロックアンセムとして最高にイカしていると思う。あと、大宮では聴けなかった「希望」もNHKホールで聴けたのは良かったあ。
あ、そうそう。この「THE SUN TOUR」が始まる直前、Bay FMの野外イベントにHKBが出演していて、それにも参加することができたのだが、そこで聴けたのが「Young Bloods」のサマージャムバージョン。ハイハットとパーカッションによるグルーヴィなリズムの上に、オルガンとギターが流れるように絡み合い、程よく抑制されたボーカルが気持ちいいナンバー。後半は演奏も徐々に盛り上がっていくのだが、それでもソフィスティケートされたサウンドはなんとなく70'sの匂いを感じさせてくれる。ツアー中にこのアレンジで「Young Bloods」を演奏したかは定かではないが、サマージャムバージョンなので冬場のツアーでは披露しなかったのだろう。でも、個人的にはこれを「THE SUN TOUR」の裏ベストナンバーに推薦したいです。