昨日、フっと思いつき、以前入手していた「CROSSROAD Guitar Festival 2007」のDVDをエンコしてiPhoneに突っ込んだ。2枚組で4時間強というボリュームのライブDVDなので、なかなか全編通して見れないのと、デレクトラックスのステージに打ちのめされて、お腹いっぱいになっちゃった…というのが全部制覇していない理由なんですけどね。こういうのをiPhoneに入れて、移動中とかにちょこちょこ見るのも一興かと。
で、昨日は手始めにジョン・メイヤーのステージを見てまして。すると不思議なもので、この人について何か書き記したくなったんですね。僕がジョン・メイヤーを初めて知ったのは5年くらい前に、なんかのステージ映像を見たときでした。随分若いのにやたらブルージーなギターを弾くなあ……いや、ただのブルーズじゃないぞ……、あれ? これってスティーヴィー・レイ・ヴォーンじゃないか! という発見があり、すぐに赤丸急上昇となったわけです。
その後、なんでかアップルの基調講演で、GarageBandの新バージョンが出る度に呼び出され「俺はギタリストなのに…」とぼやきながらピアノを弾かされたり、YouTubeではクラプトンと二人でアコースティックな演奏をする映像を見つけたりと、いろんな場面で見る機会も多かったわけです。最近ではジョン・フルシャンテ、デレクトラックスと一緒に「新・三大ギタリスト」的な祭り上げられ方をしていたりして。ジャックホワイト(The White Stripes)を加えて「新・四天王」でもいいんじゃないかと。
上のYouTubeを見ると分かりますが、ジョン・メイヤーは「CROSSROAD Guitar Festival 2007」でも超絶的なギターを弾いてます。そのプレイをよーく分解すると、ブルーズギタリストの巨匠達の手癖が見え隠れしてるんですね。ストラト・サウンドの作りは、やはりレイ・ヴォーンが基本にありながら、エフェクト&トーンを巧みにコントロールすることで、やたらファットな音になったり繊細な音になったり。そんな変化の中に、例えばB.B.キングっぽいフレーズや、クラプトンっぽい構成の組み立てが出てくる。あとフレディ・キングらしいところとか、ジミ・ヘンドリックス(〜レイ・ヴォーン直系)のプレイなんかも挟んでくる。
こう書くと、ジョン・メイヤーのオリジナリティは無いのかって思われますが、しっかりあるんです。この人は、その容姿もそうですが、とにかく甘い。すいーつ。ブルーズのフレーズがそこかしこに登場するけど、基本はコンテンポラリーなロック&バラッド。たまにギターリフとその後のメロディパートがミスマッチ過ぎるところもあるけど、その外し感が今っぽいのかな、と思うところもあり。で、曲も甘い。詩も甘い。歌い方もファルセットなんか使われると、それだけで甘い。
ここまで甘いと胸やけ・胃もたれしそうだけど、不思議とそうならないのが、ジョン・メイヤーのオリジナリティなんだと思う。たぶんこの人は、本当に器用な人なんでしょう。ギタープレイも上に書いたとおりだけど、たぶんいろんなテクニックやソングライティングの知識が頭に入ってて、どの引き出しをどう使うかを常に考えているような気がする。もう少し突っ込むと、自分の中にあるスティーヴィー・レイ・ヴォーンと、相反するコンテンポラリーさを、どうミックスさせるかっていつも気にしているじゃないかな。それがバンドでやったり、トリオでやったりという幅の広さになっていて、ファンとしては楽しかったりする。
「Where The Light Is:John Mayer Live in Los Angeles」というライブ盤も出たばかりなので、USのiTunesで購入します。しかし、なんで日本のiTunesでは売っていないんだ…って、この人ソニー所属か! もう勝負はついているんだから、ソニーもいい加減、門戸解放しなさいよ…。
Where The Light Is:John Mayer Live in Los Angeles
ジョン・メイヤー
リリース:2008/7/1
レーベル:SonyMusic