Garage Bandでありがちなループを多用したダンサブルな曲とは一線を画すために、アコースティックを主体としたメロウな曲を作って、録音を開始。Garage Band自体は簡単にマルチトラックを重ねていける結構凄いソフトなんだけど、あまり使ったことがないせいか、いろいろと苦労の連続。でも楽しい。ドラムだけはベーシックなリズムのループを使おうと考えていたけど、結局すべて打ち込みをして、ギターを4本も重ねたり、慣れないピアノやキーボードパートも録音したりと、やっていくうちに深みにハマっていく。でもおかげで、それなりに満足のいく曲に仕上がった。
コンテスト当日。この日は銀座で矢野顕子ライブがあるので顔を出す。夏に青山のブルーノートで初ライブを体験したけど、今回は目の前でピアノを弾きながら歌っているということもあって、えらく感動。1曲目から迂闊にも目頭が熱くなる。この人の声は耳で聞くっていうよりも、ダイレクトに脳みそに響くんで、その分感動も大きい。ほんと、天才だと思う。
そんな本物の音楽を体験した後なんで、自分の曲を人に聞かせるのにえらく躊躇したけど、iPodゲットのためには恥も外聞も捨てようではないか。コンテストは渋谷店でエントリーしたので、銀座から渋谷へ移動。スタッフにCD-Rを渡してしばし待つこと30分。いよいよコンテストがスタート。エントリー数は10人で、自分は8番目。他の参加者の曲をずーっと聴いていたが、予想どおりリズムループの上にフレーズが配置された曲が多く、構成や展開といったものとは無縁。何人かはきちんとした曲を作っていたけど、カラオケちっくだったり、歌謡パンクロックだったりと、正直あまりレベルは高くない。職場の同僚の方も参加していたが、彼がループのみで作った曲は、ちょっとケルティックなアコースティックサウンドで気持ちいい。つまりループを多用するのがダメってことではなく、ようはセンスや音楽への理解度が、ダイレクトに曲の良さに影響するってわけ。
8番目でようやく自分の番。前に出て司会者の質問に答えながら曲を紹介する。そしていよいよ再生。お、うちのモニタスピーカーよりも低音がやけに響くな。曲の後ろのほうで鳴っている微妙なフレーズが聞き取りにくい。でもどこでどんなフレーズが鳴っているかなんて、一聴しただけでは分かるわけもないから、まあ気にしないでおこう。
曲が終わって、再度司会者との会話。「どういうイメージで作られたんですか?」と漠然とした質問をされたので、ちょっと考えて「'70sロックっぽくですかね」と答えると「あー、ビートルズっぽいですもんね」と言われた。あのー'70s言っているんですけど。「どっちかというとディランとかです」と答えたけど、厳密に言えば'90sのディランなんだよね。司会者が「ああ、Knockin’ on the heaven's doorみたいですね」と言ってきたので、「いいですねえ」と適当に答えるが、厳密に言えば「Where Teardrops Fall」なんだよね。さらに言えば、イントロや全体のイメージはベックちゃんの「The Golden Age」なんだよね。エンディングは全然違うけど。
そんなわけで結果発表…のその前に、どうやって採点されるかをここで暴露すると、その場で配られた投票用紙に1位、2位を書いて投票し、それの合算で1位〜3位までを決めるというもの。でも投票用紙はコンテストが行われている付近にいる人にしか配られない。それはつまり、コンテストに参加している人とその友人や家族にしか配られないわけで、もろに組織票で決まる形式なのだ。…失敗した。昼飯を奢ってでも3〜4人、友達を引っ張ってくるんだった…orz
…で発表の結果、自分の曲は3位でした。2位は主婦の方が作った「We Will Rock You」のドラムに、自分の赤ちゃんの笑い声を乗せた1分にも満たない曲。一瞬スティーヴィーワンダーの「Isn't She Lovely」かと思ったけど、それは単なる赤ちゃん繋がりに過ぎなかった。見事1位に輝いた曲は…、正直思い出せないくらい印象のない曲でした。うーん、やはり組織票の力か。優勝賞品はiPod nano。なんだ、iPod with videoじゃないのかよ。ちぇ、つまんねーの…と言いながら、気がつくとiPodの箱をもってレジに並ぼうとしている自分に気がつく。うぉ、そうか、このコンテストの本当の目的はそういうことだったのか! 慌ててiPodを元に戻し、一目散に家路へと走りましたよ。ちゃっかりStar Wars Epi.3のDVDは買ったけどね。