MoneytreeとGoogleスプレッドシートで帳簿付けをスマートに

年末も近くなると毎度頭痛のタネになるのが、確定申告に向けての帳簿付け。今まで使っていたWindows XPベースの仕組みだと、会計処理が変わったり複雑化すると、いよいよ対応できなくなる。そんな問題を解決するために、iPhone、Moneytree、Googleスプレッドシートを使ったスマートな会計システムを構築し始めたので、ここで紹介します。

今の帳簿付けが抱えている根深い問題点

フリーランスになり青色申告をするようになってから早15年、依頼している税理士さんとの連携のためにWindows XPで動作する「記帳くん」という会計ソフトを使っていた。自分の場合は1つの銀行口座、数枚のクレジットカード、それと現金という3種類の入出金について、この会計ソフトに記帳している。その手順といえば、まずは月初に銀行とクレジット会社のWebサイトから明細をPDFでダウンロードする。それを見ながら会計ソフトにひとつひとつを手入力するわけだが、数字の入力をミスると後々まで計算が合わなくなるし、借方貸方それぞれの勘定科目と適用を登録するときも間違えがないように、過去に登録した内容を参照するため机の上は書類で溢れる。そもそも、銀行やクレジットカード会社の明細も各社ともフォーマットがバラバラなので、CSVファイルをダウンロードしてきたところで大した解決にはならない。

一方、どうやら今の世の中はFinTechだと言う。Freeeのような新しい会計サービスも台頭してきている。もうさすがに旧時代的な帳簿付けは辛い…。そのことを会計士さんにボヤいたところ「現金出納帳と預金出納帳をExcelファイルでまとめれば、会計ソフトでの管理はやりますよ」とのこと。Excelファイルは汎用性が高い分だけ、よりスマートなワークフローを整える希望が見えてきた。

スマートな解決策 #1:Moneytreeを使ったフリーハンド帳簿入力

アウトプットはExcelファイルで良いとして、インプットをどうするか? Excelに手入力するのであれば今までと変わらず、それは馬鹿げてる。そのため、銀行やクレジットカード、現金支払いのデータを統合しなければならない。最近は分散しているお金まわりのデータを集約してくれるスマートフォン向けアプリケーションがいくつかあり、その中でも気に入って使い続けているのに「Moneytree」というものがある。iPhoneでいつでもパパっと日々のお金の流れを確認する、いわば家計簿の目的だったので無料版を使い続けていたけど、定額課金の有料版にすれば経費精算データをExcelやCSV形式のファイルに書き出せる。試してみたところ、フォーマットも統一されているので勝手が良い。

Moneytreeが優れているところは、口座などから取得してきた明細に対してメモやカテゴリーを自由に登録できる。さらに、毎月繰り返して処理される引き落としや入金は、一度カテゴリーを振っておけば、それを機械学習して翌月以降は賢く自動判別してくれる。また、レシートや領収書をもらった場合は、iPhoneのカメラで撮影すれば後日カード明細が取得された際に自動照合して経費登録をしてくれる。今まで手間でしかなかった帳簿の登録が、手間いらずで絶対に数字のミスがなくなるのだから、これぞストレス・フリーだろう。

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スマートな解決策 #2:Google Apps Scriptでビジネスロジックを自動処理

入力と出力は決まった。しかしこの間を繋ぐロジックこそが重要だ。ExcelやCSVなどの表計算データを加工するにはいろんな手段があって、ではExcelやNumbersでやるか、いや待てファイルメーカーProには高度なスクリプトがあるぞ…など、いろいろ逡巡したが、クラウドに寄せておくべきと判断してGoogleスプレッドシートを使うことにした。何よりもJavaScriptベースのGoogle Apps Script(GAS)でスクリプトが組めるというメリットがある。

今回、GASで組んだスクリプトは以下のような作業を自動でやってくれる

  1. Moneytreeで出力したCSVファイルの各カラムを出納帳で対応するカラムに変換
  2. Moneytreeで登録したカテゴリーを出納帳の勘定科目と適用に変換
  3. 入金の際の売掛金処理などは入力データに記録されていないので、スクリプトで処理する
  4. 明細項目に応じて、現金出納帳と預金出納帳に自動振り分けをし、日付順にインサート

ここではスクリプトの詳細までは掲載しないが、約400行のスクリプトを組むことでこれらの処理が自動化でき、その結果、今まで一ヶ月分を登録するのに遮二無二頑張って90分くらいかかりヘトヘトになっていたことが、操作の手数こそ多いものの、何も考えずにポチポチ押してれば10分ほどですべて完了するようになった。手順の多いところは主にMoneytreeからCSVを出力したものをGoogleスプレッドシートに取り込むところだったりするので、ここのオペレーションを簡略化する方法が見つかれば、さらに時間を短縮できそうだ。

情報ツールを高める “アイデアと実践” を分かりやすく提供

このように問題点を洗い出して、それをできるだけスマートに解決するための方法を検討・選択し、プログラム・コーディングを含めた実践までを行う。iPhone、iPadなど身近にあるデバイスを使ったソリューション構築を求めているのでしたら、規模に関わらず一度ご相談ください